寄稿文

青木秀澄先生より

『居合道八段拝受に当たって』 青木 秀澄

 私ごとではありますが、令和2年8月の全日本剣道連盟居合道審査会にて、図らずも居合道八段位に昇段させていただくことができました。これも偏に諸先生、諸先輩方のご指導、ご鞭撻によるものと感謝申し上げます。

若輩の身でありながら寄稿文とは甚だ心苦しくございますが、駄文失礼申し上げます。

私は、中学入学と同時に剣道部に入部し剣道を始めました。1学年先輩に勝瀬文孝先生がおられ、先輩のお宅が道場だったことから「碧雲館道場」に入門、勝瀬善光先生に師事し、剣道、居合道、杖道のご指導を受けて参りました。師が「水鷗流居合剣法」の宗家でもあったため、「全日本剣道連盟制定居合」とともに「水鷗流居合剣法」という居合術をはじめとする総合古武術を道場、水鷗流一門の仲間達と一緒に学ぶ機会を得ました。この非常に恵まれた環境と貴重な出会いの中で修行を積むことができたことが八段拝受の礎となったのだと確信しております。

私の師の指導について一例をお話しさせて頂きます。師からもちろんたくさんのいろいろなことを教えて頂きましたが、その指導の仕方として、あまり具体的な指導を受けることがありませんでした。手順を教わったらそれを繰り返し身につくまでの稽古だったり、先生や先輩方の稽古を見て自分なりに真似したり、感じとったりといった稽古でした。たまに「手の内が悪い」、「腕力だけでやっている」といった指導を頂くこともありましたが、一日の稽古中に何も言葉をかけてもらえないこともありました。師匠曰く 「手取り足取り教えたほうが本当は楽。でもそれは先生が修行して得たものだから、それを教えられた通りただやっても本物にはならない。結局は自分で会得するしかない。コツコツとつづけることが大事。」とよく言われました。自分なりに努力と工夫をしながら稽古に励み未だに何かを得られた実感はありませんが、これが八段拝受の遠回りのような近道だったのだと感じるところもあります。

取り留めのない話となってしまいましたが、剣道、居合道、杖道が皆様にとって良き修行の場であり、人との良きつながりの場となりますようご祈念申し上げますとともに何卒尚一層のご指導とご厚誼を賜りますよう切にお願い申し上げます。

最後にこの機会をお借りして、ここまで見放すことなくご指導くださった師、お手本を示してくれた諸先生、先輩方、共に修行に励んだ同輩、後輩の皆さん、そして家族に深く感謝いたします。

『居合道八段拝受に当たって』青木秀澄

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