道場訪問記

その3 美和剣正会(葵区美和)

美和地域の青少年健全育成を目的に設立された「美和武道連盟」の一部門を担う「美和剣正会」。「子どもたちの心の拠りどころとなるような剣道教室でありたい」と願う師範の川崎勝利先生の元には、近年多くの小中学生が入門してきます。剣道人口の減少が心配される昨今、入門生が増えている「美和剣正会」の魅力を取材してきました。

昭和63年に美和地域健全育成会が「地域住民の心身の健全育成のため武道教育を行う」という方針を掲げ「美和武道連盟」を設立、弓道、柔道、空手などと並ぶ剣道部門として「美和剣正会」が設立されました。

創立当初は、美和地域外からの先生方にご指導をお願いしていたそうですが、現在は美和剣正会の代表者であり地元出身の川崎勝利五段を中心に、望月邦央五段、松本利一三段、星野剛三段、渡邉誠二段、佐藤禎晃二段、山内祥平二段らの有段者が小中学生の指導にあたっています。

現在の会員数は、小学生27人、中学生14人、高校生10人、一般12人という大変な大所帯で、静岡市立美和中学校の剣道場を稽古場所として活動しています。

道場訓は「楽しく、正しく、厳しく」。川崎先生は、「仲間づくりの場であったり、礼儀を学ぶ場であったりと、子どもたちの心の拠りどころとなるような剣道教室でありたい」とおっしゃっていました。

稽古は、上級者も初心者も同じ時間帯、同じ会場で進められますが、指導者が手分けをして対応しています。取材したこの日は、全体で体操・素振りをした後、小学生高学年の指導を望月先生が、面を着けない初心者を川崎先生が担当して進められていました。

高学年面着け組は、切り返しから基本技、その後先生方を元立ちに地稽古。初心者は先生方が竹刀で受ける形での打ち込みを行っていました。どちらも基本を大切にした指導が徹底され、正しい剣道を身につけさせたいという両先生方の思いが伝わってきました。

取材中、印象的だったのは初心者の小学生がとても楽しそうに稽古していること。川崎先生は声を荒げることもなく、子どもたちの目線にまで頭を下げて冗談を交えながら指導されていました。保護者の皆さんのサポートもあり、子どもたちはアットホームな雰囲気の中でノビノビと稽古していました。美和剣正会の入門者が増えている要因がここにあるのだろうと感じました。

美和地域の青少年健全育成を目的に設立された「美和剣正会」。自治会組織との連携も強力で、毎年お正月の初稽古では地域の自治会役員や住民を招いて演武を披露しているそうです。また、美和剣正会の小学生がほぼ全員そのまま美和中の剣道部に入部する形となるため、小中一貫での濃密な指導が可能となっています。まさに地域ぐるみで子どもたちを育てている典型例といっても良いかと思います。今後益々隆盛の予感がしました。

〇表彰 平成25年度全剣連少年剣道教員奨励賞受賞

【平成29年6月7日(水)取材 】

 

教室データ

稽古場所 静岡市立美和中学校剣道場
稽古日 水・金 19時00分~21時00分
入会金 無料
会費 1,000円/月
問合せ先 054-296-2187(川崎勝利)
静岡市剣道連盟
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